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隠し部屋
コラム3
今日のお題「オムニバス」
皆さんは「オムニバス」という言葉を知っていますか?
いつまでも子供の心を忘れないアメリカンソゥルが見事に表現された言葉ですよね。
でもちょっと考えてみてください。
この言葉の裏に隠された恐ろしい真意を。
老人「今日は客足も絶え絶えじゃのぅ・・・」
息子「やっぱり西のほうで起こった災害の影響かな?」
老人「洪水・・か・・・。ほとんどの物資は流れてしまったそうじゃ」
息子「でもおかしくは無いかい?食料や衣類を求めてこの町に来る人がいてもおかしくないよ」
老人「う〜む・・・そうじゃなぁ・・」
息子「まぁ何か理由があるんだろうね。あ、そうそう。父さん、今日はシチューだよ」
老人「そうか・・・」
老人「あの後客が一人きたじゃろ」
息子「うん。それが?」
老人「世にも恐ろしい話を聞いたんじゃよ・・・」
息子「やだなぁ・・食事中にそんな話するとせっかくのシチューが美味しくないよ」
老人「良いから聞くんじゃ。これは世が大きくゆれる話やもしれぬ・・・」
息子「世の中が・・・?」
老人「そうじゃ・・・」
息子「なんだい?もったいぶらずに話してくれよ、父さん」
老人「ふむ・・・お前はこの国を出るのか?」
息子「ははは、やだなぁ。僕はこの店を継ぐよ」
老人「そうか・・・いやな、これは他国の話なんじゃが・・・」
息子「他国?どこだい?」
老人「ジパングという国じゃよ」
息子「ジパング?う〜ん・・・聞いたことあるような無いような・・・」
老人「噂では黄金の国らしいんじゃ」
息子「黄金・・ちょっと想像つかないなぁ」
老人「まぁ黄金はどうでも良いんじゃ」
息子「うん。それでそのジパングがどうしたのさ?」
老人「どうも・・・その国は神の国らしいのじゃ」
息子「ええ!?神様がっ!?」
老人「そうじゃ・・・いや、これは噂にすぎんらしいが・・・」
息子「ジパング・・・行ってみたい・・・」
老人「神様・・・死ぬ前に一度は見たいのぅ・・・」
息子「父さん、俺、そこへ行ったらダメかな?」
老人「ダメに決まっておろう・・・店はどうするんじゃ・・ワシ一人じゃ荷物を運ぶことすら出来ん」
息子「いや、それは誰かに手伝ってもらうとか・・・」
老人「この時期に、しかも客も少ない。人を雇う余裕など無いじゃろ」
息子「でも・・・父さん、俺行ってみたいんだ。神様を見てみたい」
老人「それはワシとて同じことよ・・だがな、もし店がうまくいってたとしても・・・神様は見えんよ。ワシらにはの」
息子「そうかなぁ・・・」
老人「神様は見えないから神様なのじゃ・・・正体が分かってしまったら神様でもなんでもない。それはただの偉人じゃ」
息子「でもさ、父さんも見てみたいでしょ?もし神の国があるなら」
老人「それは見てみたいわい。だがこの老いぼれ、生まれてこの方善行などしたこと無いんじゃよ。そんなワシには・・・神様など見えんじゃろぅ・・・」
息子「父さん・・・なに言ってるのさ。父さんは人に、いや神様に十分見てもらえる善行をしたよ・・・・」
老人「・・・なんじゃそれは?」
息子「俺を育ててくれたじゃないか」
老人「・・・・・」
息子「お袋が死んだとき、俺は泣いてた。でも父さんは泣かずに俺を抱きしめてくれたじゃないか・・・」
老人「・・・・・」
息子「俺知ってたんだ。父さんが夜、部屋で泣いてるのを。でも俺の前では絶対泣かなかった」
老人「知ってたのか・・・」
息子「俺は父さんが好きだよ。俺にとっては神様は父さんさ」
老人「いっぱしの口をききおって・・・」
息子「ふふっ。照れなくても良いさ」
老人「ふっ・・・ありがとう」
息子「だから神様が見たい」
老人「ダメだっつってんだろ」
終了
あとがき
ハイ、オムニバスなんて言葉すら出てきてません。残念でなりません。
−選択肢−