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隠し部屋
日本昔話3
「金太郎」
昔々、遠い昔、ある山に金太郎という少年がおりました。
当時としてはそりゃもう世界最高水準の改造手術で、べらぼうに強かったとのことです。
第一章 −村長−
ドシーン 村人は怯えていました。
山からあの地響きが聞こえてきたからです。
そう、金太郎がしこを踏んでいるのです・・・。
「今日も金太郎様はお怒りじゃぁ・・・」
「ナンマンダヴナンマンダヴ・・・恐ろしや恐ろしや・・・」
「くわばらくわばら・・・」
そこへ村長が険しい表情でやってきました。
「金太郎様のお戯れにも愛想が尽きた。今こそ立ち上がるときじゃ」
突然とんでもないことを言い出す村長。気でも違ったか。
村人たちは愛想笑いを浮かべながらもそう思いました。
「村長・・・でもあの強さの前では力士でも赤子。一体どうなさるおつもりか?」
「そうじゃ。今までも幾人の猛者が挑んだが、みなやられてしもうた」
「村長、悪いことは言わん。医者に診てもらえ(頭を)」
失礼なことを平気で言う村人たち。村長の尊厳もクソもあったもんじゃありません。
しかし村長には秘策・・・というより希望がありました。
「ふふ・・・何とでも言うが良い。ワシはこの日のために様々なことを考えてきた」
「しかし村長・・・危険すぎるじゃぁありませんか」
「そうだ。村人まで巻き込むおつもりか。この老いぼれ!」
「老いぼれ!」
少し傷ついた村長でしたが、ここでめげるわけにもいかず、ただただ沈黙を通しました。
「アホ!村長やめちまえ!」
「このポッキィ!ポキッと折るぞ!」
「あぁ〜!五月蝿い!シャラップ!」
とうとう怒り爆発の村長。
「良いか!お前ら!よく聞きやがれ!東のほうにそれはもう凄い科学者がおるそうじゃ!噂では気を操り、空も飛べるそうじゃ!そんな凄い人がいるんだで!?これを利用する手は無かろう!分かったか!このボケども!」
「う、うん。ごめんね。僕態度改めるよ」
「ごめん。僕も態度改める」
「僕も・・・」
村人たちはとうとうイッてしまった村長にこれ以上関わるまいと必死に弁解しました。
しかし村長はあくまでも真面目でした。
「しかしその偉人に来てもらうのにも気が引ける。そこでじゃ、ワシが改造手術を受けて金太郎様を完膚なきまでに叩き潰そうと思うんじゃが」
「村長・・・そりゃぁ無茶だ・・・アンタが良くてもアンタの体が許さんよ・・・」
「っていうか改造手術のほうが面倒だよ・・・」
「ふむ・・・それじゃ若い衆に任せるかの・・・」
誰もやりたくない。そんなことはわかっている。しかし村長だけはそのことに気が付かないのでした・・・。
第二章 −ロボット−
村長に(強制的に)選ばれた若者。彼の名は「桃次郎」。
村でも目立たなく、控えめでお人よし。そのくせ根暗な日陰者でした。
彼はじゃんけんで負けたので、改造されることになったのです。
「ほ、本当に僕がやるんですか・・?」
「当然じゃ。村一番の力持ちで頭脳明晰なお前さんなら出来るワイ」
嘘も方便。馬の耳に念仏。村長は丸め込もうと必死です。
「しかしのぅ・・・桃次郎とは・・・」
「じゃんけんも明らかに仕組まれたもの・・・」
「っていうか桃次郎弱いじゃん」
村人はコソコソと、それこそ桃次郎より日陰者のような口調で文句を言いました。
「そこ!五月蝿いじゃろ!」
「す、すいません」
「申し訳ない」
「ごめんチャイ」
でも村長に逆らう根性はありませんでした。
「まぁとりあえずこれでも持って、いっちょやっといで」
「え?あ、はい・・・」
何の説明も無く、しかも強制的に謎のダンゴを持たせて行かせようとする村長。
皆はそんな村長が大好きです。
第三章 −旅立ち−
桃次郎はとても不安でした。
肝っ玉が小さいことも相まって、それはもうとてつもない不安に心が押しつぶされそうになっていました。
(あぁ・・・僕で本当に大丈夫なんだろうか)
小心者の桃次郎。手術云々より失敗したときのほうが怖いようです。
しかし何より、村長が無理やり持たせたダンゴの異臭が怖かったのです。
大きさは赤ん坊のコブシほどで、ダンゴというよりはモチに近いものでした 。
(臭い・・・うん、これどう考えても臭いよなぁ・・・臭いよ・・・)
まぁ桃次郎のことですから問題は無いでしょう。
村を出てしばらく歩いたときでした。
「ちょいとそこのお方」
「はい?」
振り向くと怪しげな老婆がこれまた怪しげなしぐさで手を振っています。
桃次郎は異臭によって感覚が麻痺しかけだったので、特に警戒することも無く近づいていきました。
「・・どうしたんですか・・?」
「ほほほ。おぬし、今から先生のところへ向かうんじゃろう?」
「え・・・どうしてそれを・・・?」
「まぁ気にするでない。それよりな・・」
老婆はりんごを取り出しました。
「・・・いらんかね?」
「あ・・いえ・・・その・・・・」
流石小心者。まどろっこしくて仕方ありません。さっさと返事しろや桃ヤロウ!
「い、いただきます・・・えと・・いくらですか・・?」
「金は良い。それより・・・おぬしのそのダンゴ、それをくれんか?」
「え・・・これを・・?」
怪しげな老婆は異臭漂う怪しげなダンゴを指差し、欲しい欲しいと(淫猥な腰つきで)可愛くねだりました。
桃次郎は小心者なのでアッサリ分け与えてしまいました。
「これでワシも仲間じゃ」
「えぇ!?」
こんな怪しげな老婆と歩くのは嫌だ。
桃次郎は小心者のくせにそんなことを考えてました。
しかし断ることも出来ず、しぶしぶ歩き出しました。
森を抜けると都が見えてきました。
「・・あ・・ここが都か・・・」
「そうじゃよ。おぬし、見たことは無かったのかえ?」
「家でずっとゲームしてて・・・」
「不健康なヤツじゃ・・」
都に降り立った二人。根暗で小心者の桃次郎はこういうところが苦手です。
「えと・・・早く都を抜けませんか・・・?」
「色々そろえるものもあるじゃろうて・・」
「え・・・あ、はい・・そうですね・・・」
流石に小心者だけあって逆らうことは出来ないようです。
仕方なく桃次郎はわずかな金を出しました(ゲームを買う金だったらしい)。
どう考えても旅をする準備など出来てやいません。
しかしそこはレベルアップでなんとなりそうな勢いでした。
何の脈絡も無く突然現れ、理解不能な言葉で唐突に仲間になった謎の老婆。
桃次郎は名前を聞いていなかったので、聞くことにしました。
店の前であれやこれやと吟味する老婆の背後にそっと近寄り、耳元でささやくように話し掛けました。
「あの・・・お名前は・・・」
「あん」
老婆は感じちゃいました。
「え・・・いや・・あの・・・そういうつもりじゃ・・・」
「耳は弱いんじゃよ耳は・・・」
頬を赤らめる老婆はまるで夢見る乙女のようでした。
桃次郎の必死の弁解により、その気が無いことを説明しつつ、老婆の名を尋ねました。
彼女は フグタマスオ と名乗りました。
「さて・・あらかたそろったし行くかの」
「あ・・・はい、そうですね・・」
まだ頬を赤らめつつ上目遣いで桃次郎をチラチラ見てしまう可愛い老婆。
シチュエーション的には萌え萌えもいいとこです。
シチュエーション的には。
第四章 −旅路(前)−
「赤い靴・・・はいてた・・・・」
「・・・・」
怪しげなうたを口ずさむ怪しげな老婆に桃次郎は嫌気がさしていました。
そもそもどうしてこの老婆は仲間になるとか言い出したのか。
気でも違ってるんじゃないだろうか。っていうか見つめないでくれよ。
小心者で日陰者な桃次郎は、そう思っていても口に出すことが出来ません。
おまけに異臭漂うダンゴまでもが桃次郎を追い詰めます。
「あの・・・マスオさん・・」
「ん?なんじゃ?」
「いや・・・さっきからその・・・口ずさんでる歌・・・なんですか・・?」
「あぁ・・気にするでない。無礼講無礼講」
社会に適応できない桃次郎に無礼講という言葉は無用でした。
「それと・・・その・・道はあってるんでしょうか・・・?」
「あってるあってる。絶対あってるから」
「そ、そうですか・・・」
桃次郎は老婆の額に光る脂汗を見ていました。
「ここいらで一休みするかの。」
そう言いだしたのは老婆でした。
大きな木の根元で二人は休むことにしました。
体力が著しく減退している桃次郎にとってはありがたいことでした。
「ふぅ・・・疲れた・・・」
「ほれ。飯じゃ。」
「あ、ありがとうございます・・。」
人の金で買った飯をうまそうにむさぼる老婆。
桃次郎はなぜか落ち着きました。
「えと・・今日はここで休むんでしょうか・・」
「んー・・そういえばもう日も落ちてきてるね。うん、ここで休んじゃおっか」
「あ・・はい・・・」
テントや寝袋などが無いことに気付いたのはかなり後のことでした。
チュンチュン まぶしい光とともに朝を迎えた桃次郎。
「ん・・・ふぁ・・・」
よく眠ったはずなのにけだるさが抜けません。
ふと気付くと桃次郎は下着一枚でした。
「え・・・なんで・・・」
木の陰から見つめる老婆に桃次郎は気付いていませんでした。
しかし老婆の声が聞こえたような気がしました。
「ごちそうさま」と。
「ムシャムシャバクバク」
「・・・・・」
「ガツガツモリモリ」
「・・・・・」
「モグモグウマウマ」
「・・・あの・・マスオさん・・・そんなに食べて大丈夫ですか・・・?」
「ん?あぁ、若いもんが何を言うとる。据え膳食わねばなんとやら。ほれ、おぬしも食いなされ」
「は、はぁ・・」
いや、そうじゃないよ。食料無くなったらどうすんのよ。
口に出しては言えないくせに、心の底でそう思う桃次郎。
そんなこんなで朝食タイムも終わり、準備をして出発とあいなりました。
「ええと・・・結局どこに向かうんでしょうか・・」
「えぇ!?」
マスオ風にビックリするマスオ。
「え・・あの・・いや・・・どこに向かうのかなって・・・」
「ペルーじゃ」
「・・・・・どこ!?」
「ペルーじゃペルー。ペルーっていう村じゃ」
「村・・えらいハイカラ(256色)ですね・・・」
「とりあえずそこに先生はおる」
「そ、そうですか・・・それじゃあ急ぎましょうか・・・」
「ん・・あぁ」
「・・・・・・・どこにあるんですか・・?」
「・・・・・・・」
「え・・・いや、どこにあるのか・・知らないとか・・・?」
「あ?あぁ!?し、知ってる知ってる!そりゃもう凄い知ってる!っていうかそこ出身!ミスペルーだってミスペルー!」 「は、はぁ・・」
絶対コイツ知らねぇ。間違いない絶対知らないよ。
っていうかペルーって南米?ここジパングだよジパング。南米じゃねーっつーの。
ペルーじゃないに3000ピーチかけるね。
徐々に慣れてきたのか、心の奥底でマスオを罵倒する桃次郎。
ここまで腐っちゃうともうどうしようもありません。
「と、とりあえず・・・そのペルーって村まで行きましょうか・・・」
「そう・・じゃな」
第五章 −旅路(中)−
山道を歩くこと10時間。
桃次郎は体力の限界に差し掛かっていました。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「若いのに体力の無いことじゃのぅ」
「そ・・そろそろ休みませんか・・ずっと歩きっぱなしだし・・・」
「まぁ待て。とりあえずこの山を抜けるんじゃ。ここは夜になると危険じゃからの」
「え・・・危険・・・?」
「山賊が出るんじゃ」
「・・うそ・・・」
「ほんまほんま。出るでぇ、怖いでぇ」
「じゃ、じゃぁさっさと抜けましょう・・・」
「うむ」
5分後、桃次郎は倒れました。
「まったく・・ほんに体力の無いやつじゃ。山賊が出ても知らんぞぇ」
「はぁ・・・はぁ・・すい・・ません・・」
「・・・・どうやらもう遅いようじゃ」
「え・・?」
ガサガサ・・・。 バサッ!ドシャ!
「いてっ!」
茂みのほうからあわただしい音、そして声。
「木からでも落ちたかの」
「イテテテテ・・・うん。落ちちゃった」
「うるせぇババァ!」
「いいから荷物を置いてきやがれ!」
「はよせぇや!コラ!」
現れたのは4人の男でした。ヒゲをはやし、明らかに山賊でした。
「聞こえてんのかクソババァ!」
「クソババァなんておらんが・・・わしのことかえ?」
マスオ(老婆)以外の全員が テメーだ と思いました。
「ふむ・・・仕方ない。降りかかる火の粉はなんとやら・・・」
「ブツブツうるせぇ・・・はよ荷物置いて散れ」
「桃次郎や、ちょいと離れてなされ」
「は、はい・・」
「それじゃいくぞぇ。山賊ども」
「やっちまえコンチクショウ!」
いっせいにナイフやらオノやらで襲い掛かってくる山賊。
マスオは静かに構えます。
一人の山賊が思い切りオノを振りかぶりました。
「オラァ!」
「ふんっ!!」
マスオの裏拳が顔面に炸裂。
続いて後ろの山賊のナイフを払い、滑らかな動きで掌底をアゴに一撃。
ひるんだ隙を突いて残りの二人を回し蹴りで一蹴。(約一秒間の出来事)
「負けたでぇぇぇッ!!!」
ドサドチャバサドコッ!
奇妙な落下音で、山賊四人がほぼ同時に降ってきました。
「ふむ・・・。これに懲りてもう二度と襲うなどと考えないことじゃな」
と言いながら山賊の金品を奪う老婆。
「す、すごい・・・」
「あ、この時計欲しかったんだよね。貰うよ」
「あ、あの、マスオさん・・・盗むのは良くないと・・・」
「いや、これぐらい当然じゃ」
「当然なんですか・・・」
いつもと変わらぬ調子の桃次郎ですが、彼の中でこのとき何かが変わってきていました。
そう、強くなりたいと・・・。
「マスオさん・・・聞いても良いですか・・?」
「あ、このネックなんて似合うかな〜・・ん?なんじゃ?」
「どうやったら強くなれるんですか・・?」
「ん・・あぁ・・。ダンゴじゃよ」
「・・?ダンゴ・・?」
「そう、そこの腐りかけのダンゴじゃ」
「え・・・やっぱこれ腐ってたんだ・・・」
異臭のするダンゴを見て桃次郎は溜息をつきました。
腐ったダンゴを持たせた村長、何も言わなかった村人・・・。
桃次郎は復讐を固く誓いました。
「食べてみぃ。モリモリと力がはみ出してくるわい」
「は、はい・・・」
強くなれる。これで強くなれる。最強になれるんだ。
そんな思いでダンゴを口にする桃次郎。
しかし最強への道を歩み始めたと思ったとたん、思いもよらない出来事が桃次郎を襲います。
「マズイ・・・・」
「良薬口に苦し、札束の海に埋もれた忍者と言うじゃろ」
「は、はぁ・・・モグモグ・・・ウゲェ・・・で、でもこれで強くなれるんですね・・」
「嘘じゃ」
「えぇ!?」
「ダンゴ食って強くなるのは桃太郎ぐらいじゃ」
「誰だ・・・」
つづく
あとがき
うわぁ、本当に楽しいお話でしたね。
つづきはあるのか無いのか分からないけど、とりあえず楽しみにはしないでね!
−選択肢−